


カタリココ文庫9号『新しい自我----「ふつう」を見いだす闘い』は堀江敏幸と大竹昭子の対談、及び堀江の未発表の随想をお届けいたします。
収録した対談は2012年に名古屋でおこなわれたもので、堀江の生地である多治見に近かったこともあり、幼少期の記憶、持って生まれた自分の性格、地域ごとの言葉の差異など、東京では聞くことの出来ない話題が繰り広げられました。今回その対談をもとに、両者が加筆修正を施しました。
また堀江は東日本大震災の前後にあたる時期に3つの詩をつづけて書いています。発表したのはそれぞれ別の媒体ですが、連作として綴られたもので、対談では創作にいたる経緯と思いが語られています。本書では3作をすべて読むことができます。
巻末に載せた堀江の随想は、ある企画のために書いたにもかかわらず、未掲載に終わった原稿です。なぜボツになったかは対談の山場ともいえる箇所であり、「『ふつう』」を見いだす闘い」という副題もそこにつながってきます。一見、「闘う」というイメージからほど遠く、また自身の来歴についてもあまり積極的に語ることのなかった堀江敏幸の核心部分に触れた、リトルプレスだからこそ実現できた自信作です。
仕様:文庫版/並製/88ページ
発刊:2022年7月
発行:カタリココ文庫