美しい本。美しい小説。『星を撒いた街』に続く、待望の小説撰集。
昭和を代表する私小説作家、上林曉(1902―1980)。太宰治と同時期にデビューした作家は、心を病んだ妻を見つめ、のちに脳溢血によって半身不随となったあとも、震える左手で小説を書き続けました。その不屈の精神がすなわち作品になっていることが、作家の名を著名にしましたが、上林曉はいわゆる私小説以外にも、未来に残る美しい小説もたくさん残しています。
2011 年に制作した『星を撒いた街』は、作家のそうした美しい面に光を当て好評を博しましたが(4 刷、5500 部)、本書は同じコンセプトでつくる小説撰集の続編です。
装画は阿部海太さん。装丁以外にもカラー挿絵を 10 点収録した豪華な本です。
収録する短篇は初期の傑作「天草土産」ほか 10 点。
仕様:四六判変形/ハードカバ/416ページ
発刊:2023年4月
発行:夏葉社